革修理|岐阜県の革修理なら革研究所 大垣店
革修理ブログ
2021/09/08
[MIUMIU] ミュウミュウ財布の全体染め直し
こんにちは!今回ご紹介させていただきますのは、ミュウミュウミュウのマトラッセ二つ折り財布の全体染め直し修理です!
ミュウミュウでは代表的ともいえるピンクベージュのカラーですが、ご自身で汚れを落とそうとしてそこがシミになってしまったとご相談いただきました。結果的に失敗してしまいましたがご自身で綺麗にしようとする心掛けは素晴らしいです。
革はシミになってしまうと布生地のようにシミ抜き剤を使って・・・というわけにはいきません。というわけで染め直しをしていくわけですが、ことはそう簡単にはいきません。目に見える範囲では色が付いているように見えている箇所でも、表面を整える液剤を塗布すると表面がスレているところだけ液体が浸透して内部に染み込んで浮き出てきます。そうです!そこでプロが使う表面形成材の出番です。革には表面があり、そこに色が付くことで綺麗な着色が可能になります。
工程は、表面クリーニング(革専用クリーナーで表面の汚れを落とします)→研磨(革の表面を均一に慣らすため軽い力で整えていきます)→脱脂(表面に付着している手の脂やクリーナーでは落ち切れない汚れを除去します)→マスキング(色がついてはいけないブランドロゴやファスナー等をマスキングテープ等を使って保護します。 これが大変な作業です)→表面形成(形成剤や様々な溶剤を用いて着色前のとても大切な工程になります)→調色(プリンターのように色の三原色を基本に色を手作りで作っていきます 今回はピンクベージュです)→塗布・吹付(筆等で下塗りした後にスプレーガンで均等になるように吹き付けていきます ここがプロの腕の見せ所!)→色止め(そのままでは色落ちしてしまいますので色止め剤で仕上げます)→オイル(色落ちしないかの確認の意味も含めて表面にオイルトリートメントを施します)
では仕上がりの状態をbefore after の写真でご覧ください。
[before]
[after]
向かってお財布の被せ部分の左側がシミになっていることがお分かりでしょうか?after では綺麗に分からなくなっています。
[before]
[after]
裏も同じく向かって左側にシミがありましたが、同じく綺麗に。
[before]
[after]
内側もご希望により承りますがカード入れ付近を施工する場合は見える範囲内での施工となります。
[before]
[after]
お財布の縁にあたる部分がスレて黒くなり一部破れがあることが写真でお分かりになりますでしょうか?多少の欠け程度でこのようなパイピング部分の修復は可能です。もちろん色も綺麗に。
[before]
[after]
同じくファスナーの上あたりのパイピングがスレて汚れがありましたが、表面も色も蘇りました。
いかがでしょうか?
色につきましては、手作りで一点一点その都度作りますので時間もかかりますし、天候にも左右されますので最近の雨天続きは大変ですが楽しみにされているお客様のために妥協は絶対にできません!今回のピンクベージュには、赤(朱)、黄、白、青、黒を組み合わせて調色しています。その絶妙な組み合わせは機械ではできません。
逆に機械でないので全く同じの100%完全一致は理論上不可能ですが、違和感のない色を作ることに努めております。
今回も全体に色を入れていますがbefore と比べてもあまり分からない程度に仕上がったとおもいます。
思い入れのある革製品は簡単には捨てられない!そんな方はぜひお気軽にご相談ください。直接ご来店できない方でもトップページにあります「ライン公式アカウント」で数枚お写真を送りいただくと概算のお見積りをさせていただきますので簡単です。もちろんお見積りは無料です!